2012年度中学国語入試・よく出題された出典ランキング
1位 しずかな日々 椰月美智子/著 2位 農は過去と未来をつなぐ 田んぼから考えたこと 宇根豊/著 3位 今ここにいるぼくら 川端裕人 4位 十二歳 椰月美智子/著 夏を拾いに 森浩美/著 野川 長野まゆみ/著 7位 思考の整理学 外山滋比古 サマータイム 佐藤多佳子 小学五年生 重松清/著 |
上記が2012年度中学受験国語入試問題に複数回選ばれた作品とその著者です。特に1位の椰月美智子さん著の『しずかな日々』は、函館ラサール中、富士見中学校、聖園女学院中学校にも取り扱われ、過去には、獨協埼玉、筑波附属、早稲田にも取り扱われていた有名な作品です。
この作品は、「家族の絆」が大きなテーマとなっている小説です。「家族の絆」や「家族とは何か」といった内容は、中学受験でも頻出テーマなので、この作品から出題されるのは、なんの不思議もないように感じますが、どうしてここまで、多くの学校が出典として選んでいるのでしょうか?それは、近年の世間をにぎわしている暴行や虐待、殺人といった親子間での悲しい事件に、中学側も関心を寄せているからだと考えられます。
やはり、中学受験と言えども、古典ばかり、論理的な説明文ばかりを出題して、それが解ける生徒だけを優秀とみる時代は過ぎてしまったのかもしれません。こんな時代だからこそ心の機微、家族を大切に想う心、思いやり・相手の痛みを理解する心といった気持ちを理解できる人間が大切なのです。このように、「理論的」な文章よりも「感覚的・感情的」な文章を取り扱う学校が増えてきているというのが、昨今の受験事情です。もちろん、学校によって特色・考え方が違いますので、「理論的」な文章を出題する学校もあります。それは、過去問を参考に独自に研究していくに限ります。
「理論的」な文章(説明文、論説)というものは、新書から出題されることがほとんどです。更に、岩波書店新書、筑摩書房新書からよく出題されます。たまに、新潮社、PHP研究所です。
説明文でよく取り扱われるテーマは、
・コミュニケーション論
・生物学論
・哲学論
・言語論
・文化論
です。
特に最近は、やはり昨今の世論を反映してか、コミュニケーションに関する文や、哲学系の文章が多くなり、「物事をよく考えることが出来る生徒」「コミュニケーションがしっかり取れる生徒」というものを求めているようです。受験問題、入試問題は、「○○な生徒に来てほしい」「○○な生徒がうちの求める人間像だ」という学校側のメッセージですので、過去問をしっかり洗い直すこと、学校のHPで求める人物像を把握することが、問題を解く際に手助けになるかもしれません。
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