平成24年度 東京都立武蔵高等学校附属中学校 国語 分析と解説

適性検査I(作文)

本文の文章量(総計)は、約2300字、2011年は2100字、2010年が2500字ですから、
ほぼ、例年通りの平均的な文字数と言えます。

昨年のように与えられた二つの文章を選択して作文を書く問題ではなく、
一昨年度までの二つの文章の共通点を書く形に戻りました。

各文章についての要約問題があり、ここは取り組みやすい問題なので、
しっかり回答することが合格への近道になったでしょう。

どちらも作文の課題を自分の読解力で理解し、
立場・意見を出すための基盤を設定することが大切です。

また、昨年度の「学級での発表」という形式で作文を書くようにという指示と同様に、
今年度は「学級新聞の記事」という形になりました。

このように形式をあらかじめ指定して作文をさせることがありますので、
その点にも注意して回答するよう心掛けましょう。

<具体的な問題内容>

文章A(約870字)と文章B(約1500字)の説明的文章随筆を読んで、

・各文章の要旨
・共通点を述べるもの
・2つの文章を踏まえて、自分の経験にからませて記述するもの(400〜460字以内)

の計4題でした。

便利さと引き換えに失った生きる事への豊かさ」を取り戻していくために、
何が必要かを、2つの文章を通して読み取る問題です。

筆者の主張を、文中から引用し、短い言葉で言い換えて要約するという作業が必要で、
地道な練習による解答力が求められています。

文章Aは、便利さ=なくても構わないもの→生きる目的を考えられるようになる
文章Bは、便利さや豊かさを追求しなくなって→楽しく、生きることの実感がわいてきた
という共通テーマを読み取って、最後の「あなたの考えや意見」の作文に入ります。

もし、共通テーマが見いだせなかったら作文で得点することは難しくなってしまいます。
二つの文章が何を主張しているのかをしっかりと把握し、読み解いていくことが最初のステップになります。

適性検査II

例年どおり大問2問構成。

大問1は貝塚を題材にした問題で、大問2がフロンガスを題材にした問題でした。
大問1の問題1は貝塚に関する知識を問う基本的内容です。

問題2の5種類の木の実から自ら選んだ項目に関して計算結果を用いながら説明するという
時間のとられる問題があります。

問題3は表の違いをみながら、理由を推測する問題です。
日頃から着眼点をしっかり見抜く力を養っておけば難しくはない問題です。

大問2はオゾンホールとフロンガスについての問題です。
公立中高対策では必須の環境問題に関する問題で、日頃対策授業などで、
環境問題の原因や状況をしっかり理解できていれば、十分対応可能です。

いずれも資料の読み取りと読み取ったことをもとに課題を考察する問題が中心で、
会話で示された課題に対するヒントが資料のどこに隠れているかを見つける分析力、
複数の分析結果をどのように結びつけ解決するかの考察力が問われました。

何が問われ、どのように答えればよいのかが、
わかりやすい問題とわかりにくい問題の差が昨年よりはっきりしていたので、
問題選択さえ間違えなければ合格するのに十分な点数が取れるという点で、
昨年より少し易しくなったと言えるかもしれません。

開校以来、年を追うごとに文系(社会系)、理系(理科系)の区別がつきにくくなってきました。

2012年度は、完全にといっていいほど区別がなくなっています

問題文中の解説・表・グラフなどの資料の読み取りと分析課題にたいする考察力を
これらの問題から測っています。

今後もこの傾向は続くと思われますので、各種統計資料の読み取り・分析の練習を十分積んでおくことが必要です。

特に人口問題・ごみ・環境問題、食料問題、エネルギー問題などの統計資料の読み取りが必須である単元は、
それらが問題視されてきた原因・現状などを基本的知識として身につけておきましょう。

適性検査Ⅲ

2011年度と同様に大問2題・小問6題の構成でした。
運動会を題材にした問題と、「量る」をテーマにした問題で、
どちらも数理的な思考力・分析が求められています。

また、これまでの出題と比べて、私立中入試における算数・理科の
「ある単元を知っていると有利になる」という問題を意図して排除したと思われます。

適性検査Ⅱの出題内容と合わせて考えると、
適性検査Ⅲでは出題の方針通り、科学的・数理的分析力、総合的考察力
知識に影響されない問題でみていこうという方針が固まったのではないかと思われます。

大問数は例年通り2問で、昨年同様、条件を満たす答えが複数ある中から
1つを答える形式は踏襲されていますが、問題文が長くなり、条件が複雑になったため、
昨年度より難化したと言えるでしょう。

大問1の問題1・2は運動会の点数に関する問題で、
何通りか考えられる答えから1つを答える形式です。

条件に合うものを1つ見つければいいんだと、
割り切ってしまえばさほど時間をかけず解けます。

問題3は立体を並べる組み合わせを考え、投影図を描く問題です。

条件をいろいろ考えるより、手を動かした方が早く解ける問題でした。

大問2は「量る」をテーマにした問題でした。
問題1はあずき1粒の重さを求める方法を考える問題で比較的平易でしたが、
問題2の飲み物を作るのに使った原液の重さを求める問題、
問題3の気体の重さを調べる方法を考える問題は勘違いしやすい問題でした。

ボーダーライン

適性検査の問題も全体的に形式が固定化してきました。
受検生にとっては取り組みやすくなった反面、ミスが命取りになります。
適性I・適性IIともに得点はしやすくなったようです。

IとIIのボーダーラインが60~70%
逆に難化した適性検査Ⅲは50%にどれだけ近づけるかがカギになります。

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